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昭和47年、パスタとフランス料理をまぜたような地中海料理の店を大阪・心斎橋にオープンしました。
それまでは、女性同士が気軽に食にに行くような店はなかったから、たいへん喜ばれました。当時、ホテルのフランス料理は高かったんです。でも、お客さまはとても厳しかった。お前のところの料理は好きじゃないけど、パンやワインはおいしいと言う。(笑)


ひどい話ですけれど、教わりましたね。大阪のお客さまにとって、格好なんてどうでもいいこと。本当にうまいものを出して欲しい。お客さまにはずいぶん育てられました。良いものを安く提供するのが、開店当時からのモットー。それまで働いていた店には有名人も来るわけですよ。当然、値段も高かった。ある時、若いお客さまが来て、財布の中身をからっぽにするようにして、お金を払っていった。それを見て、私が目指している経営とは違うなと思った。料理はおいしいだけでなく、価格も満足しないといけない。

店を出してから3年目にパリに修行に行きました。三ツ星レストランに食べに行くと同僚に言うと、それより安くておいしい店を知っているという。ビストロでしたが、実際、三ツ星と同じくらいおいしかった。

それで方針が決まりました。安い価格で本物が食べられる店をめざす。ずっとビストロでやっていこう、イタリアならトラットリアでやっていこうと。

お客さまはただ食べるだけでは満足しません。食べる喜びが感じられるように、食べる時間や空間を演出しないといけない。食材や調理器具を店内に見えるようにしているのも、食事を楽しくしてくれるから。

あたたかい雰囲気があると言ってくれる人もいる。そして料理の知識はすごくあっても、それを生かす知恵がないと店の経営は続きません。お客さまが何を求めているか、いつでも考えていないといけない。あくまでお客さまの声ですよ。

たとえば大阪でタコ焼きがなぜ売れるのか。そのことに悩んで考える人だけが次に進めるはずです。多くの人は店を持つことだけで終わってしまいます。でも店は開いてからが勝負。そして私が店を出しつづけるのは、これで完全な店が出来た、というのがないからでしょうね。

まだ何かが足りない。もっといい店ができるはずだと思う。
この仕事、ハングリーなほうが絶対いいですよ。


創業者 杉山博

辻調グループ校 コンピトゥムより抜粋

 





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